配偶者に不倫されたり暴力を振るわれたりしたとき、ほとんどの被害者は慰謝料の請求を考えるでしょう。慰謝料の請求額はいくらが妥当なのか、相場がどのくらいになるか気になるのではないしょうか。
法律では慰謝料の金額について明確な基準は示されていません。
婚姻関係の期間、DVや不貞行為の頻度や期間、子供の有無などで慰謝料の金額は増減します。
婚姻関係の継続 | 慰謝料費用 |
離婚しない | 概ね数10万~100万円程度 |
離婚する(不倫が原因) | 概ね100万~300万円程度 |
上記のように離婚するかしないかで慰謝料の金額に差が出ます。
あくまでも目安であり、上記の金額の範囲で決まるわけではありませんし、請求額がそのまま認められないこともあります。
不倫に至った事情や背景などを考慮して金額が決まるため、相場の金額を大幅に超えた金額で判決が出た事例もあります。
DVの慰謝料相場費用
DVには殴る蹴るなどの身体的暴力だけではなく、暴言を吐いたり無視したりするなどの精神的暴力、性行為を強要する性的暴力、生活費を渡さないなどの経済的暴力なども含まれます。
DVによる慰謝料相場 | 概ね50万~300万円程度 |
DVによる慰謝料額は
などを考慮して決められるため、慰謝料額は事案ごとに差があります。
証拠がないと慰謝料の希望通りの慰謝料請求は難しいため、暴行によって負傷した際は写真など撮っておくようにしましょう。
慰謝料の計算方法として下記の計算式を紹介しますが、慰謝料額は家庭環境や不倫・DVの期間や頻度、程度などによって決められるものであり、厳密に言うと、公式な慰謝料の計算方法は存在しません。
慰謝料の相場が気になる人は過去の判例を参考にすることをおすすめします。
以下に過去の判例を紹介します。
判例1、DVによる慰謝料200万
婚姻期間 | 7年 |
別居期間 | 2年 |
子供 | 1人 |
被害内容 | 顔面の複数箇所の骨折 |
(神戸地判平成6年2月22日)
判例2、DVによる慰謝料350万
婚姻期間 | 5年 |
別居期間 | 5年 |
子供 | 3人 |
被害内容 | 日常的な暴力、右鎖骨骨折、腰椎椎間板ヘルニアの発症 |
(大阪高判平成12年3月8日)
判例3、不倫による慰謝料:440万円
婚姻期間 | 6年 |
不倫期間 | 2年 |
婚姻関係 | 継続 |
不倫の概要 | 職場不倫 不倫関係を中止する意思なく謝罪の手紙を送り欺いた |
(東京地判平成15年2月14日)
判例3、不倫による慰謝料:120万円
婚姻期間 | 1年 |
不倫期間 | 1ヶ月 |
婚姻関係 | 不明 |
不倫の概要 | もともと夫婦不仲だった |
(東京地判平成19年8月30日)
DVによる慰謝料請求の判例はこちらで、不倫慰謝料の判例についてはこちらでわかりやすく確認できます。
自分と似たような状況があっても同じ額の慰謝料が請求できるわけではありませんので、参考程度にしておきましょう。
離婚慰謝料には下記の2種類があります。
実際はそれぞれ明確に金額を算出せず、離婚の原因となった不貞行為やDV慰謝料などの有責行為から、離婚に至るまでを総合的に考慮し、慰謝料額は算出されます。
離婚原因慰謝料とは
離婚の原因となった不貞行為やDVなどの有責行為により生じた、精神的苦痛に対して償うための慰謝料のことです。
離婚自体慰謝料とは
離婚することにより生じた精神的苦痛に対して償われる慰謝料のことです。
例えば夫婦円満だと思って暮らしていた中で、突如離婚を告げられ、受け入れざるを得なくて離婚した場合に生じた苦悩や苦痛などに対して請求する慰謝料のことです。
慰謝料額に影響があるその他の条件
慰謝料額は婚姻期間や有責行為の期間や頻度、程度などによって変動するものですが、以下の事柄も慰謝料額に影響するものと扱われています。
性格の不一致や宗教上の問題、親族間の問題は慰謝料額の算出に考慮されません。
慰謝料を請求するためには確実な証拠が必要です。
「なぜ慰謝料を請求するのか」「希望の慰謝料額の理由」を説明できなければ、希望の金額での慰謝料の請求は難しくなるでしょう。
具体的に不倫の証拠として有効なものについて把握しておきましょう。
不倫の証拠として以下のようなものが有効です。
上記のように不貞行為があったことが明らかであるものが証拠になります。
通話履歴やLINEのやりとり、ツーショット写真などは不倫の証拠としては弱いものですが、他の証拠と組み合わせることで有力な証拠になり得るため、手に入れた際には持っておきましょう。
DVの証拠とは
DVの証拠には以下のものが有効です。
医師の診断書はDVの証拠として有力です。
病院にかかる際にはすべての怪我を申告し、DVが原因であることを伝えておきましょう。診断書には治療に要する期間も記してもらうとなお良いです。
写真を取る際には自分の顔も一緒に写ったものが望ましいです。
傷だけが写ったものでは被害者本人のものかどうか問われる可能性があります。
被害を受けたときの状況等も一緒に日記などで残しておきましょう。
メールや電話でのやり取りの中で、相手がDVを認めるような発言や、DVに対して謝罪する場合、DVの証拠になり得ます。
加害者が怒鳴っている音声や、高圧的な態度が認められるような音声の録音があれば証拠として有力となります。
録音していることがばれてしまうと加害者の怒りを増長させてしまうかもしれないため、慎重に行いましょう。
DVを受けたことをメモや日記に残しておくのも証拠になり得ますが、単体では証拠として弱いため、写真や録音の音声と一緒に提出するものと認識しておきましょう。
DVを受けた日だけではなく、日常的に日記をつけておくとDVの頻度を確認しやすくなります。
DV・暴力を受けた際には探偵に相談するのもおすすめです。
探偵は証拠収集が得意です。
家庭内という閉鎖的な空間で行われる暴力行為でも、専門機器を使って証拠を掴むことが可能になります。
DV・暴力を受けている場合、探偵に相談するのも一つの手です。
探偵に相談すれば、弁護士と連携して法的措置をとってくれたりることもあります。
DVを受けた際に警察に相談しても個人間のトラブルと判断され、民事不介入の原則により対応してもらえないことがありますが、警察に事件として扱ってもらうための証拠を提出してもらえる場合もあります。
離婚理由として認められる証拠を得るため
DVにより協議離婚を申し出ても受け入れてもらえないときは、調停や裁判を行うことになります。
裁判上の離婚理由として民法第七百七十条に「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。」と示されているため、DVの証拠を提示する必要があります。
自分で証拠を集めようと録音などを試みても、加害者に見つかったときにDVがエスカレートするリスクや、録音が聞こえづらく証拠として扱えないことも考えられます。
探偵に依頼することで専門機器を使うことや、プロとしてのノウハウで加害者にばれないように、裁判でも認められる証拠を集めることが可能です。
DVにより離婚する場合も慰謝料を請求する場合も、配偶者による暴力行為があったことを立証する必要があります。
DVは日常の中で行われることが多く、物的証拠や第三者による証拠を残すことが難しいものであるため、DVを立証するためには被害を受けたあとの行動が重要です。
DVにより負傷した場合にはできるだけ病院にかかり、配偶者に暴行されたことを伝えることをおすすめします。
医療診断書など第三者による証拠はDVを立証するためには重要なものとなります。
仮に裁判でDV被害を訴えても、診断書がなければDVの事実なしと判断されかねません。
DV被害を受けたら警察や配偶者暴力相談支援センターへ相談することもできます。
以前警察は民事不介入の原則でDV問題に対応しないこともありましたが、近年ではDV問題にも対応するようになっています。
配偶者暴力相談支援センターは各都道府県に設置されていて、カウンセリングを行い、状況次第ではDV被害者の一時保護なども行っています。
医師による診断書や警察、配偶者暴力相談支援センターへの相談歴や保護歴などは離婚裁判でDVを立証するための有力な証拠になり得ます。
DV被害を受けたら1人で抱え込まずに病院や警察などに相談しましょう。
DVは状況次第では刑罰を与えることが可能であり、できるだけ早めに対処しておかなければ今後の生活を大きく左右することになります。
「この程度ならすぐ治る」「このくらいなら暴力にならないだろう」などの自己判断は、DVをエスカレートさせることにつながり、取り返しのつかないことに発展する可能性があります。
取り返しのつかないことになる前に、配偶者の暴言・暴力などで身の危険を感じたら早めに弁護士や探偵に相談することをおすすめします。
プロの手による証拠集めが可能になり、法的な視点で冷静に対応してくれるので、意外なものが証拠として採用されるようになるかもしれません。
弁護士に依頼すれば、調停や裁判になっても法的観点から被害者に有利に話を進めてくれるでしょう。
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