キスやハグは不倫となるか?慰謝料請求や離婚となるポイントを解説
浮気の定義は人によって違いますが、不倫には明確な定義があります。パートナー以外とのキスやハグなどは不倫と言えるのでしょうか。不倫の定義やその境界線のほか、離婚や慰謝料請求を考える上で抑えておきたいポイントを解説します。
キスやハグの写真は不倫の証拠としては不十分
離婚や慰謝料請求を有利に進めるためには、不倫(不貞行為)が認められる証拠を用意する必要があります。
有効な証拠としては、肉体関係があったと言えるメール内容やラブホテルへ出入りしている写真をはじめとする証拠がありますが、キスやハグの写真だけでは肉体関係を証明することが難しいです。
ただし、不倫(不貞行為)の証拠として不十分であるのはあくまで裁判等での不貞行為の証拠としての有効性の点の話であり、キスやハグの写真であっても、当事者同士の話し合いの場では有効的に使用できる可能性もあります。
しかし、キスやハグの写真だけでは相手が不倫を認めず、結果として裁判に発展せざるを得ないケースも少なくありません。実際の可能性を想定すると、あらかじめ不貞行為があったといえる確かな証拠を押さえておくことが重要です。
不倫(不貞行為)とは
日本の婚姻制度には、夫婦仲を維持するために重要な貞操義務というものがあります。
夫婦間には貞操義務が存在し、配偶者以外の異性と性交を行うと義務違反となってしまいます。
この違反行為のことを法律上では「不貞行為」と呼んでいるのです。
不貞行為は世間的に「不倫」「浮気」という呼び方が浸透しているため、こちらの表現の方がピンとくるという方もいるでしょう。
風俗店での性行為は一般的に不倫と言われませんが、法律上の不貞行為には含まれています。
恋愛感情を持った交際関係ではなく、一回限りの金銭を支払う行為であったとしても不貞行為に該当するのです。
また、慰謝料請求の裁判では、性交以外も不貞行為に認められる場合があります。
夫婦の平穏な生活を破綻させる異性との行為は慰謝料を請求する対象となり得るのです。
不倫と浮気の違いは何?
不倫と浮気について、法的な区分や明確な定義は定められていません。
ただ、一般的にはパートナー以外の異性に好意を持ち接触することを「浮気」、性的な関係を持つことを「不倫」と呼びます。
より厳密な違いとしては、以下の3つが挙げられます。
既婚者かどうか
不倫と浮気を区別するポイントとして、「パートナーと婚姻関係にあるか」という点が挙げられます。
一般的に、不倫という言葉は既婚者に対して使われることが多く、不倫による慰謝料請求ができるのも既婚者だけです。
配偶者ではないパートナーが他の異性と関係を持った場合には、浮気にあたります。
性的な関係の有無
不倫の慰謝料を請求する際には、パートナーと浮気相手の性的な関係を証明する必要があります。
パートナー以外の異性と性的な関係を持つことは、不貞行為と呼ばれ貞操義務に違反する行為です。
離婚や慰謝料請求などの法的な観点から見ると、浮気と不倫を区別するには性的関係の有無が重要だといえます。
性的な関係がない状態で2人きりで出かけたり、パートナー以外の異性に好意を抱いたりといったケースは浮気にあたります。
関係の継続性
一時的な気の迷いでその場限りの関係を持つことは、一般的に浮気と呼ばれる行為です。
特定の相手でも会う回数が少なかったり、関係を持つ相手が毎回異なったりする場合も同様に浮気と呼ばれることから、関係の継続性は浮気と不倫を区別する重要なポイントといえます。
不倫の場合は同じ相手と何度も、場合によっては数年に及び関係を継続していることを指します。
不倫の証拠は鮮明な写真や動画が必要!
浮気相手とのLINEのキャプチャを撮って裁判に臨もうとする方がいらっしゃいますが、肉体関係がはっきり証明できない文字だけでは、裁判で不貞の証拠として認められず、泣き寝入りするというパターンも。
これらだけでは不貞の証拠として難しい可能性があります
慰謝料請求のための証拠
- 不倫(不貞行為)の証拠
肉体関係があったことを証明する証拠(写真、映像、録音データ等)
- 不倫相手の故意・過失の証拠
故意
不倫相手が「あなたの夫・妻が既婚者であること」を知って交際していた証拠
過失
不倫相手の過失で「あなたの夫・妻が既婚者であること」を知らずに交際していた証拠
不倫(不貞行為)の証拠として期待できる証拠品の例
証拠 | 証拠能力のある内容 |
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LINEなどのやりとり | 肉体関係があったと認められるもの |
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写真・映像 | ラブホテルに出入りしている写真や映像 不貞行為の写真・映像 |
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音声データ・文章 | パートナーと不倫相手が不倫を認めた録音データ/文章 肉体関係があったと推測できる電話の通話記録 |
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その他 | 肉体関係があったと言える情報 (ラブホテルの領収書など) |
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探偵社の報告書 | ホテルに出入りする写真や目撃情報を記載した報告書 (複数回あると良い) |
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裁判や慰謝料請求で有効性の高い証拠写真・映像とは?
離婚や裁判を考えるのであれば、性交渉があったとわかるラブホテルや自宅、相手宅に出入りしている写真や映像が必要になります。
不貞の証拠として難しい証拠写真・映像の例
ラブホテル | ・出入りの瞬間の写真が撮れていない ・不倫相手とパートナーの顔がしっかり写っていない ・2〜3時間以上滞在している、という証明ができない |
ビジネスホテル | ・同じ部屋に入っていた、という証明ができない (同じビジネスホテルの宿泊だけでは、別々の部屋に泊まっている可能性) ・数時間のみの滞在である (泊まりであることを証明できると証拠として強い) |
相手の家 | ・2人同時の出入りの瞬間の写真が撮れていない (別々の出入りの場合は証拠として弱くなる可能性有) ・数時間のみ滞在である (泊まりであることを証明できると証拠として強い) ・1回のみ (複数回分の写真があると強い) ・浮気相手の家が事務所も兼ねている場合 (あくまで仕事という主張ができてしまう) |
慰謝料請求ができる条件
不貞行為の事実とその証拠がある
パートナーと浮気相手に不貞行為があったという事実は、慰謝料を請求する際の重要な条件となります。
不貞行為とはパートナーと浮気相手の間に肉体関係があったことを指します。
いくらパートナーが異性とデートをしていたとしても肉体関係がなければ、慰謝料を請求することは困難です。
また、不貞行為をしたという事実があっても、その証拠がなければ慰謝料は請求できません。裁判でも必ず証拠の提出が必要となります。
慰謝料を請求するためには、ラブホテルに出入りする写真や探偵社が作成した調査報告書などの不貞行為が証明できる証拠を集める必要があります。
浮気による夫婦関係の破綻
慰謝料請求ができる条件の1つとして、浮気を原因とした夫婦関係の破綻が挙げられます。
浮気により精神的苦痛を負ったことを立証できれば、慰謝料請求が認められる可能性は高くなります。
一方で、浮気が発覚する前から関係が破綻しており、平和な夫婦関係がすでに存在していない場合(浮気による精神的苦痛が認められない場合)には慰謝料請求が難しい可能性があります。
浮気の時効が成立していない
浮気にも時効があるため、一定期間が経つと慰謝料を請求する権利がなくなってしまいます。
浮気の時効は、浮気が発覚(※)してから3年です。
(※)不貞行為を知った日・浮気相手を知った日
過去の浮気であっても、浮気が発覚していない場合、浮気をしていた当時から20年以上経っていなければ時効は成立しません。(除斥期間)
ただ、離婚と浮気の因果関係が認められないと慰謝料の請求が認められない可能性があります。
(民法724条「不法行為による損害賠償請求権の消滅時効」)
故意・過失の証拠
浮気相手にも慰謝料を請求する場合には、浮気相手の行為に故意・過失があったことを証明する必要があります。
パートナーが既婚者であることを隠して交際していた場合、浮気相手は「自分が不貞行為をしている」という自覚を持っていない可能性があります。
この場合は故意・過失が認められないため、浮気相手への慰謝料請求が難しい可能性があります。
浮気相手に慰謝料請求をする際には、結婚式に出席していた事実や、職場が同じであり配偶者の有無が確認できる状況など、故意・過失であったことの証拠を示す必要があります。
パートナーの不倫が判明した場合にできること
関係修復
パートナーと話し合い、夫婦関係を継続する夫婦も少なくありません。
関係修復をする際は、パートナーに浮気を認めさせたうえで話し合う必要があるため、認めざるを得ない浮気の証拠を提示するとよいです。
関係修復する場合の注意点は、浮気は過去のものとして受け入れて関係修復に努める点と、浮気の再発防止に取り組む点があげられます。
接触禁止契約書で浮気の再発防止
接触禁止契約書とは、パートナーや浮気相手に結ばせる誓約であり、連絡や接触をしない旨を取り決め、違反した際に違約金や慰謝料を請求できるものです。
接触禁止契約書では以下が期待できるため、浮気の再発防止だけではなく、離婚や慰謝料請求を望んだ際に有利に進めることができます。
- 連絡や接触した際は、都度、違約金を請求できる
- 違約金とともに、慰謝料が請求できる
- 締結後の浮気は悪質性が高いと判断され、慰謝料が増額されやすい
- 慰謝料請求時、減額や請求却下を回避しやすくなる
離婚
関係修復せずに離婚を選択する際、パートナーが離婚を拒否する可能性があります。
拒否された場合は、裁判所に離婚原因を認めさせる必要があるため、浮気の証拠を用意しておくとスムーズです。
慰謝料を請求する
慰謝料を請求する際は、貞操義務に違反していることを証明する、浮気の証拠が必要です。
たとえば、パートナーと浮気相手が肉体関係をもっていることがわかる写真や音声などがあげられます。
慰謝料の請求は、婚姻関係を継続しながらも行えるため、以下のようなケースが選択可能です。
- 別居を含め、婚姻関係を継続しながらパートナーに慰謝料を請求する
- 婚姻関係を継続しながら浮気相手にのみ慰謝料を請求する
- 離婚してパートナーや浮気相手、もしくは双方に慰謝料を請求する
パートナーと浮気相手で、必要な浮気の証拠はやや異なるため、以下を参考にすることをおすすめします。
◯ パートナーに慰謝料を請求する
パートナーに慰謝料を請求する際は、特定の人物と複数回にわたって不貞行為に及んだことを証明する浮気の証拠があれば、有利に進めることが可能です。
風俗をはじめとする、一度きりの関係だと言い逃れできないような証拠を用意しましょう。
◯ 浮気相手に慰謝料を請求する
浮気相手に慰謝料を請求する際は、パートナーが既婚者であることを知って、パートナーと肉体関係をもったのかどうかが重要です。
浮気相手の故意・過失が認められた場合、慰謝料を請求することができます。
請求する際は、書面の送付にて交渉したり、対面で交渉したりする方法があり、合意に至らない場合は、故意・過失を証明する浮気の証拠を用意したうえで民事訴訟を選択するのが一般的な流れです。
浮気調査を探偵に依頼するメリット
浮気相手の身元調査も依頼できる
探偵に浮気調査を依頼することで、浮気の証拠を押さえるだけでなく、浮気相手の身元を特定することも可能です。浮気相手を特定するメリットとして、以下があげられます。
- 浮気相手に対して慰謝料を請求できる
- より言い逃れができない確かな浮気の証拠となる
- 浮気相手との接触禁止契約書を締結できる
法に抵触するリスクを抑える
浮気調査はパートナーの言動を調べて浮気の証拠を押さえるため、正しく調査しなければ以下のような法令に抵触する恐れがあります。
- プライバシーの侵害
- ストーカー規制法
- 住居侵入罪
- 迷惑防止条例
個人で浮気調査をする際、法令に抵触する範囲や程度を正しく理解できておらず、調査方法が違法行為に該当してしまうことも少なくありません。
違法行為によって得た浮気の証拠は、証拠として認められない恐れがあるうえ、パートナーに訴えられたり懲役や罰金が科されたりする場合もあります。
探偵は法令を遵守したうえで浮気調査を行うため、リスクなく浮気の証拠を押さえることが可能です。
時間と労力を削減できる
パートナーに確かな浮気の証拠を提示したり、慰謝料請求や離婚を有利に進めたりするには、特定の相手と性行為に及んでいることを示すデータが必要です。
場合によっては、複数回にわたる浮気調査を行う必要があるうえ、ラブホテルの出入りを記録するために、長時間尾行したり待機したりすることもあります。
浮気調査が露見する可能性を最小限に抑える
浮気調査が露見してしまうと、浮気の証拠を隠滅されるなどの恐れがあります。以下は、探偵による浮気調査は露見するリスクが低いとされている理由です。
- 基本的に2人以上で調査するため、気付かれないように対応できる
- 浮気調査に適した調査道具が揃っている
- 露見しない調査方法をはじめとする、ノウハウやスキルがある
浮気調査を依頼する探偵は、パートナーにとって顔の知らない相手です。たとえ顔を見られたとしても、浮気調査されていると気付かれる可能性は低いといえます。
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