離婚後に十分生活していけるだけの収入がない場合、条件を満たせば生活保護を受給する事ができます。
専業主婦/主夫だった方が仕事が見つかるか不安である、パートをやっていたが十分生活できるほどではない、など人それぞれ事情はあるでしょう。
受給後の生活にも制限がかかることがあるため、事前に確認しておきましょう。
生活が困窮している人に対して、健康で文化的な生活を送ることを保障し、積極的に自立した生活を送れるように援助する制度のことです。
憲法第25条で「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と記されており、生活保護法により日本国民の生活は国から守られています。
2021年(令和3年)1月時点で1,630,899世帯(高齢世帯を除くと729,094世帯)が生活保護を受給していて、生活保護申請件数は20,061世帯に上ります。
生活保護の申請は国民の権利なので、十分な収入がなく生活に困っていれば、住んでいる地域の自治体の福祉事務所または支庁に相談してみましょう。
出典:厚生労働省「生活保護の被保護者調査(令和3年1月分概数)の結果」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/hihogosya/m2021/dl/01-01.pdf
①生活扶助 | 食料、衣服、水道光熱費など日常生活を営む上で必要な費用 |
②教育扶助 | 学級費、教材費、給食費、PTA会費など義務教育を受ける上で必要な費用 |
③住宅扶助 | 家賃、部屋代、地代、住宅維持費(修繕費)、更新料、引っ越し費用など住むために必要な費用 |
④医療扶助 | 病気や怪我の治療、療養のために必要な治療材料を含む医療機関に支払う費用 |
⑤介護扶助 | 介護サービス利用者負担額や食事負担額など介護保険サービスにかかる費用 |
⑥出産扶助 | 出産のために必要な費用 |
⑦生業扶助 | 就職するために必要な資格や技能の取得にかかる費用 |
⑧葬祭扶助 | 最低限の葬儀や埋葬の費用(読経、香典返しなどは含まれない) |
「厚生労働大臣が定める基準で計算される最低生活費と収入を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に、最低生活費から収入を差し引いた差額が保護費として支給されます。」
とされており、収入の中には年金や児童扶養手当などの社会保障給付が含まれます。
参考:厚生労働省「生活保護制度」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatuhogo/index.html
最低生活費は地域(級地)や世帯の人数(人員)、年齢、児童の数などによって計算されます。
計算式は公式のもが提示されているので、以下厚生労働省ページの表と計算式を参考に確認してみてください。
参考:厚生労働省「級地区分(H30.10.1)」
https://www.mhlw.go.jp/content/kyuchi.3010.pdf
参考:厚生労働省「【生保基準】最低生活費の算出方法(R4.4 )」
https://www.mhlw.go.jp/content/000776372.pdf
現金、預貯金や換金可能なもの(車、不動産、株など有価証券、貯蓄型の生命保険など)を保有していると生活保護を受給することはできません。
離婚の際に財産分与で配偶者から家や土地、車を譲り受けた場合は、最低限の生活は送れると判断され、生活保護を受給できない可能性が高いです。
貯蓄型の生命保険も解約返戻金があれば資産があるとみなされて、生活保護を受給することは難しくなります。
一般的に、貯金額や資産が、世帯の最低生活費よりも少ない(半分以下)ことが多いと言われていますが、明確な基準が定義されている訳では無いため、各自治体の民生委員、市町村役場、区役所、福祉事務所などに相談するのが良いです。
離婚後の世帯収入が厚生労働省の定める「最低生活費」に満たない場合に生活保護の受給は可能です。
収入が全くない人だけでなく、収入があっても最低生活費に満たない人にも生活保護を受けられる可能性はあります。
病気や怪我が原因で収入が低いと認められた場合に受給できますが、心身ともに健康で働ける状況にある人は生活保護の受給は難しいです。
離婚後に親族から生活費の援助が受けられない場合に生活保護の受給は可能です。
法律上、家族には互いに扶養する義務があるため(民法第877条)生活保護の申請をしたら、3親等以内の親族に社会福祉事務所から申請者の支援ができないか尋ねられ、未成年の子どもがいる場合は元配偶者にも支援ができないかの連絡が入ります。
消費者金融のカードローン、クレジットカードのキャッシングなどの借金がある人は生活保護の受給が難しい可能性があります(借金の有無が条件に明記されていない為、申請を行うことはでき、通る場合もあります)。
生活保護は最低限の生活のために支給されるものであり、借金の返済には当てられないためです。
ただし奨学金の返済など公的な機関からの借金であれば生活保護受給の可能性はあります。
生活保護によって借金自体がなくなるわけではない為、債務整理などの検討も必要になるでしょう。
詳しくは福祉事務所ケースワーカーなどに確認してみてください。
自治体が援助するものには生活保護以外のものもあります。
離婚後、未成年の子供の親権者になったが収入がない場合、公的扶助や貸付けの制度を利用することもできます。
働く意志はあるが資金が足りなくて就職活動ができない場合、生活困窮者自立支援制度を利用することもできます。
公的な援助を受けても生活保護を受給できる可能性があるのは、最低限の生活が送れないと判断された場合です。
生活保護の受給の前に元配偶者に養育費や慰謝料、財産分与などを請求することを検討してみましょう。
生活保護を受給するのは資産も援助もない場合の最終手段です。
元配偶者が支払ってくれなかったり、音信不通になったり、養育費などをもらっても最低限の生活費に届かない場合に申請しましょう。
申請に必要な書類
書類を用意したら、住んでいる地域の福祉事務所の生活保護担当窓口に行きましょう。
申請の前に面談により現在の状況(資産、収入、病気の有無、家族構成など)について尋ねられます。
面談により生活保護の受給条件を満たしていると判断されれば申請できるようになります。
福祉事務所で面談後に申請できたとしても、すぐには生活保護の受給は始まりません。
生活保護の申請後は福祉事務所による親族などへの調査が行われ、調査の結果は概ね14日から遅くても30日以内に通知されます。
生活保護受給中に預貯金や資産があると受給額が制限されることがあります。
制限される預貯金額はいくらから、などと明確ではありませんが、十分生活していける資金を持っていると判断されて、受給されなくなる場合があります。
車やバイク、不動産などの資産となるものも原則持つことはできません。
そもそも生活保護受給中にローンなどの審査が通ることは考えにくいですが、借金は基本的にはできません。
子どもの進学費用などを公的援助で賄うなどであれば認められることはあります。
万が一カードローンなどで借金した場合、生活保護の不正受給として返還しなければならなくなる可能性があります。
生活保護受給が決まったら、自分の収入に見合った公営住宅やアパートなどに引っ越しが必要になる場合があります。
家賃が高くて生活できないということにならないようにしなければなりません。
住宅扶助の上限内に収まる家賃の住宅を選ぶ必要があります。
生活保護受給中は解約返戻金のある生命保険や個人年金などをかけることはできません。
仮に加入していた場合、資産とみなされて生活保護の受給打ち切りになる可能性があります。
学資保険も同様なので注意しましょう。
掛け捨ての保険であれば認められる場合があるため、加入前にケースワーカーに相談することをおすすめします。
生活保護受給中は生活の無駄をなくして生活の維持・向上に努めること、健康の維持・増進に努めること、働けるなら能力に応じて仕事を探し、働くことなどが生活保護法によって義務付けられています。
臨時収入を含む収入、支出に増減があった場合や、居住地または世帯構成に変動があった場合には、できるだけ早く福祉事務所や生活保護の実施機関に届け出なければなりません。
収入が増えたことを申告していなければ、支給済みの生活保護費を返還しなければならなくなる可能性もあります。
地域によりますが、定期的な申告書の提出も必要になります。
生活保護受給者が福祉事務所から、自力で安定した生活を送れるようにするための指示や指導を受けた場合には従わなければなりません。
指示や指導に従わなかった場合、生活保護の受給を止められてしまう可能性があります。
切迫した場合などにより資産があるにも関わらず生活保護を受給した場合、受給した保護金品相当の金額の範囲内で返還しなければなりません。
事実と異なる内容で生活保護を申請した場合など不正に受給した場合は、受給した分を返還しなければならない可能性があります。
虚偽の申請をしたり、不正を働いたりすると法律により罰せられるかもしれません。
生活に変化があり収入が増えた場合にも返還しなければならないかもしれません。
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